●中須 健太郎(ピエロ)   ●松永 正人(習志野バブルス)   ●福田 智行(TNCスパークス)



 春の訪れと共に近づく草野球人の夢舞台。開幕まで2ヶ月を切り、決戦の時はもうそこまで迫っている。そこで今日からは、過去の大会で活躍した選手・監督を中心に現在の近況、今大会に賭ける思い、意気込みなどを様々な角度から探ってみた。


― この冬はどのように過ごしていますか?
中須 この冬は大学生活最後の冬なので、卒論を書きながら徐々にですが体を動かしています。
― 差し支えなければ、どのような進路に進まれるのかお聞かせください。
中須 4月から不動産関係の仕事に就くことになりました。実はピエロの監督の平野さんと同じ会社なんです。「最初は俺の下だからな」と平野さんからもう言われています。まあこれでピエロからは一生逃げられそうにもないですね(笑)。冗談はともかく、運命的なものを感じています。
― 中須投手が野球を始めたきっかけは?
中須 小学校5年生からです。それまではソフトボールをしていたのですが、5年生になり地元の軟式少年野球チームに入りました。
― 投手はいつからされているのですか?
中須 少年野球チームに入った翌日から投げさせられました。しかもいきなり試合に出されて、3回を投げたのですが、23点取られてしまいました。あのときのことは今でも忘れませんね。
― 高校時代の思い出は?
中須 埼玉県の無名の高校だったのですが、1年の秋から投げさせてもらいました。3年間ずっと投手でした。一番の思い出は、うちの学校は県大会でもなかなか2回戦にも行けなかったチームだったのですが、2年生の秋にみんなで死に物狂いに頑張ったら学校初の県大会ベスト8まで行くことができました。それが一番印象に残っています。あと個人的には、練習試合で強豪の桐生一を完封したことです。
― 大学時代はどう過ごされていたのですか?
中須 自分は高校3年の最後の夏の大会で、やや不完全燃焼の結果に終わってしまいました。その結果、野球への思いが一段と強くなり、とにかく上で、プロへ行って最高の野球がやりたいと強く思っていました。そこで、大学の野球部に入るとプロテストを4年生まで受けられないので入部せず、高校のときにお世話になったトレーナーの方にメニューを組んでもらい、その年の秋に行われるプロテストに備えました。
― プロのテストはどちらを受けられたのですか?
中須 日ハムと広島、あとは野茂さんがオーナーをされているアメリカの独立リーグのテストを受けました。
― テストはどうでしたか?
中須 プロのレベルはすごいなと思いました。投手では145km以上は全員出ていたと思います。運よく広島のテストで最終まで残れたのですが、そこで広島のコーチをされている山内さんに、「君はまだ線が細い。出直してきてくれ」と言われました。全国のレベルを生まれて初めて実感しましたね。
― その後はどうされたのですか?
中須 さすがに一年たったら体が動かなくなってしまい、2年目以降は断念しました。大学2年のときはほとんど野球をしませんでした。
― さて、いよいよ草野球の話に移りますが、ピエロに入られたきっかけは何だったのですか?
中須 大学3年の秋、父から、「知り合いの草野球チームの助っ人に行ってこい」と言われ、そこでピエロの監督の平野さんに会いました。そこで後日平野さんから、「チームを作るぞ」と言われ、最初は冗談なのかなと思いましたが、いきなり希望の背番号を聞かれ、「これは本気だな」と思い、その後はズルズルといつのまにかにピエロに入っていました。
― そして翌年の春に優勝するわけですが、春の優勝
  を振り返ってどうですか?
中須 自分としては初めてのアークカップだったのですが、いきなり優勝できるとはもちろん思ってもいませんでした。これだけ多くのチームが参加される大会なので、まさか優勝できるとは今でも信じられない思いです。うちのチームは過去の実績がそうそうたる先輩方が多くいらっしゃるので、先輩方に引っ張られて優勝の喜びを味合わせてもらえました。
― 東京ドームのマウンドはどうでしたか?
中須 初めてドームで投げたのですが、すごく投げやすいマウンドでした。プロの選手はこんなところで投げているのかと感動しました。音も響くし空気も最高でした。
― 連覇の懸かった昨秋は惜しくもベスト8でしたが、敗れた準々決勝のTNC戦は好試合でしたね。
中須 戦っていていいチームだなと思いました。負けて悔しかったのですが、相手の福田投手は理想的なすばらしい投手でした。投球テンポやアウトコースの出し入れなど、見習う点が多かったです。投げ合うことが出来て光栄でした。
― 今でも心がけている練習やトレーニング方法などはありますか?
中須 今は体力を少しでも戻すため、ランニングを欠かさずやるようにしています。週3回は長い時間を走るようにもしています。「きちんと体を作っているか」と監督の平野さんからたまにメールが入りますのでサボれませんね(笑)。
― さて、最後にこの春の目標を聞かせてください。
中須 やはり最大の目標はあのマウンドにもう一度立ちたいと思います。変に受けて立つのではなく、1回戦から1点も取られないつもりで飛ばしていきたいですね。
― ありがとうございました。

<PROFILE>
ピエロ・中須 健太郎 なかす・けんたろう●1985年3月2日生まれ、21歳、埼玉県出身。180a72`、右投右打。小学校5年生から野球を始め、川越東高校では1年秋からエース。最高成績は2年秋の県大会ベスト8。卒業後、専修大学に進むがプロ志望のため大学の野球部には入らず3球団のテストを受けるもかなわず大学2年時に断念。大学3年の秋にピエロに入団し、翌年の4年の春、第14回アークカップに初登場。1回戦から好投し見事チームの初優勝に貢献した。同年秋もベスト8に導くなど、エースとして不動の地位を築いている。