継投が勝利への絶対条件となるだけに、平澤、宮崎、坂下らで構成された投手陣がそれぞれの役割を確実に果たすことが期待される。準々決勝と準決勝で先発した右腕の平澤は投球術に優れ、勝負所で力が発揮できる頼もしい存在。準々決勝では優勝候補の筆頭だったFsを相手に7回を投げ、被安打2、7奪三振の3塁を踏ませぬ好投を見せた。準決勝のTOOLS戦でも5回を投げ、失策絡みの1失点と先発として試合を作る能力が高い。同じ右腕の宮崎は多彩な変化球で打者を翻弄するなど球のキレはチームbP。先発からリリーフまでこなせる実践型で、継投策の多いJAいちかわにとっては頼もしい存在だ。その他、準々決勝と準決勝で好リリーフを見せた左腕の坂下、安定感のある成田、古居らの好投手も控えている。
▲今大会わずか2失点と安定感抜群の投手陣(左から平澤、宮崎、坂下)


 派手さはないもののこれまでの戦いぶりから見て、もはやお家芸と言ってよい小技や機動力を絡めた多彩な攻撃でたたみ掛けるのがJAいちかわ打線の特徴だ。堅守で流れを切らさず攻撃につなげ、持ち味のつなぐ意識を発揮して好機を確実に得点に結びつける。三山・木南の1・2番コンビはいずれも俊足で出塁率が高く、相手バッテリーにとっては厄介な存在だ。この2人に、これまた出塁が多い3番の安達を加えた上位打者を、4番ながらつなぐ意識の高い神山、勝負強い打撃で打点の多い5番・半杭がかえすのが必勝パターン。さらに、6番・藤代は一発長打も期待できるスラッガー。9番の染谷は下位ながらここ一番の場面でタイムリーを放つなど、非凡な打撃センスでチームの勝利に多く貢献している。
▲中軸を含めナイン全員に浸透する“つなぎの意識”(左から安達、神山)


 “強い”というより、勝ち方を知っているチームだ。走者が出ればバント、エンドランなど小技や機動力を絡めて巧みに攻撃し、守っては5人の投手陣をうまく駆使して、どんな試合でも必ず継投策を採るなど、徹底した組織野球を展開してくる。いわゆる『エースと4番』という位置づけをせず、全投手が先発も抑えもこなし、4番もあくまで“4番目の打者”という認識をチーム全員が持ち合わせている。結果、野球の幅が大きく広がり、初の決勝戦進出というこの春の快進撃につながった。また、JAいちかわはJA農協の会社チームであり、来る東京ドーム決戦には900人以上の社員が応援に駆けつける予定だ。大声援をバックに、東京ドームでも持ち前の組織野球が出来れば、悲願の初優勝へグッと近づくだろう。
▲豊富な経験で培われた勝つための野球を展開し、大応援団に応えたい