11月28日(日)  優勝戦 1 2 3 4 5 6 7
Big☆B (流山市) 0 0 0 0 0 0 0 0
F s (立川市) 0 0 0 0 0 2 × 2



優勝戦実況

 参加128チームがアークカップの頂点を目指して戦った2010年の秋。23回目を迎えた今回の優勝戦に残った2チームは、昨年に引き続き2年連続優勝を目指す、現在の草野球のトップを走り続ける強豪のFsと、この春初めて8強入りを果たし、その勢いをそのまま今大会は一気に決勝まで駆け上がってきた新進気鋭のBig☆Bだった。

 昨年の覇者として登場したFsは今大会、強力投手陣と破壊力のある打線で決勝進出を果たし、夏としては史上初の連覇が目前にある。対するBig☆Bは、右腕エースの小林が奮闘し機動力のある打線がこれを支える形で、大舞台の切符をつかみ取った。

 「名門 対 新鋭」の図式となったこの夏の決勝戦は鍛え抜かれ、磨き抜かれた力と技が激突する好勝負が、平成22年11月28日、午後12時47分、西武ドームで幕を開けた。



▲Fsの先発は、昨夏のMVP右腕・高桑



▲Big☆Bの先発は、今夏急成長した小林
 この試合の先発は、Fsは大会でもすっかりお馴染みとなった昨年のMVP投手の高桑、Big☆Bはもちろんここまで全試合で先発してきたエースの小林。大方の予想通り両右腕の先発で始まった試合は序盤から激しい攻防となった。

 1回の表Big☆Bは先頭の酒井がいきなりセンター前ヒットで出塁すると、相手守備の一瞬の隙を突く果敢な走塁で一気に2塁を陥れ、無死2塁と先制のチャンスを作る。しかしその後、2番・三浦、3番・梅田が相次いで三振。期待された4番・植手も3塁ゴロに倒れ、Big☆Bは先制点を挙げるチャンスを逃す。

 一方のFsもその裏、Big☆B同様にチャンスを迎える。先頭の都築が四球で出塁すると、2番・大元のときすかさず2盗。さらに大元がきっちり送り1死3塁と、こちらも先制のチャンスを作る。しかし続くクリーンアップの3番・佐藤、4番・入田がともに3塁ゴロに倒れ、Fsも初回から訪れたチャンスを生かせない。その後、序盤戦は両チームともチャンスを作るが双方の好守備に挟まれなかなか得点することが出来ない。

 3回の裏、Fsは1番・都築が1死から四球で出塁し、初回同様にすかさず2塁へ盗塁を決め再び好機を作る。しかしその直後に都築がBig☆B・小林の巧みな牽制に刺され、またも惜しいチャンスを逃す。

 一方のBig☆Bも直後の4回表ビッグチャンスを迎える。この回先頭の3番・梅田がセンター前ヒットで出塁。すると梅田は続く4番の植手の2球目に2盗を試みるが、Fsの捕手・加藤の強肩の前にタッチアウト。チャンスは潰えたかと思われたが、Big☆Bの好機はこの回さらに続く。直後に4番・植手が内野ゴロエラーで出塁すると、今度は2塁への盗塁を成功させ1死2塁と再びチャンスを作り直す。ここで迎えた5番・真通はしぶとくライト前に弾き返し、2塁走者の植手は一瞬3塁を回りかけたがストップし、1死ながら1・3塁と大きな好機を作った。しかし、続く6番・緑川の2球目。投球はボールだったが、このときFsの捕手・加藤の矢のような送球の前に3塁走者の植手が刺され、Big☆Bはあまりに惜しいチャンスを逸する。

 6回にもこの回先頭の1番・酒井がこの試合3本目の安打で出塁するが、続く2番・三浦が試みたバントがキャッチャーフライに倒れ、2塁へ送れなかった直後に3番の梅田がライト前ヒットを打つなど、Big☆Bは6回まで7本のヒットを放ち再三チャンスを作るが、チグハグな攻撃でどうしても1点が奪えない。

▲矢のような送球で3塁走者が牽制死



▲再三のチャンスも、本塁が遠いBig☆B


▲6回、大砲・原島が決勝の特大2ベース

▲重い均衡を破り、喜びに沸くFsベンチ
 このまま延長戦突入の予感が漂い始めた6回の裏に、ついに試合が動く。

 Fsはこの回先頭の2番・大元がセンター前ヒットで出塁。次打者が内野ゴロに倒れるも併殺は免れ1塁にランナーが残ると、続く4番・入田はファールで6球粘った末に四球を選び、1死1・2塁とチャンスを広げる。ここで迎えた5番の原島は、カウント1-1からの3球目をジャストミート。打球は打った瞬間それと分かる大きな弾道でライトの頭上を深々と破るタイムリー2塁打となり2塁走者がホームイン。ついに均衡が破れた。さらにFsは直後の1死2・3塁から、6番・千葉の初球にエンドランを敢行。これが見事に決まり、3塁走者がかえり貴重な2点目を加えた。

 Fsは最終回の守りから投手を小川にスイッチ。小川は期待に応えBig☆B打線を3者凡退に抑え、昨年に引き続き2年連続のアークカップ優勝を決めた。

 試合後の閉会式ではFsの山崎監督にアークカップが贈られ、128チームの参加で始まった第23回大会も熱戦の幕が下ろされた。優勝したFsは2年連続優勝の快挙を達成。今大会は勝敗が抽選にもつれ込む試合を経験するなど苦しい戦いの連続だったが、最後は王者の貫禄を見せつけ、並み居るライバルたちの挑戦を見事に跳ね除けた。偉業を達成しても、まだいくらでも勝ち続けられそうな最強集団の風格がそこにはあった。
▲夏連覇を決め、マウンドに駆け出すナイン


▲健闘むなしく、惜しくも準優勝に終わった
  また、一方で惜しくも敗れたBig☆Bは、この春に初めてベスト8まで進出すると、今大会もエース小林を軸に、まさにチーム一丸となって勝ち進んできた。決勝戦の戦いぶりも優勝したFsと互角かそれ以上のものがあった。序盤から何度もスコアリングポジションに走者を進めたがあと1本が出ず、ついに最後まで得点を奪えないまま終戦を迎えたが、その健闘は十分に称賛に値するものだった。