左腕エース川村の存在感が大きい。最速130`のストレートに加え、カーブとキレ味鋭いスライダーが持ち味だ。スライダーは手元で大きく曲がり、相手打者にとっては攻略しづらい投手だ。また、学生時代から経験も豊富で、チームを結成当時から引っ張ってきた。この春は準々決勝こそはリズムを欠き失点を重ねたが、翌週行われた準決勝では前週の反省点をすぐに修正し完封勝利を挙げるなど、切り替えが早いところを見せた。東京ドームの大舞台では、よほどのことがない限りは川村の先発が予想されるが、この大黒柱の出来が勝敗の大きなポイントを握るのは間違いない。後ろには、スピードならエースの川村を上回る右腕の好投手・北村らが控える。いずれも潜在能力が高く大舞台でも好投が期待される。
▲緩急を自在に操り、打者に的を絞らせない投球が持ち味だ


 これまでの大会を沸かせた強豪チームと比較すると迫力は欠くものの、チャンスを確実にモノにする勝負強さを持っている。打線のキーは、まず1番の伊藤だろう。これまで多くの試合で決勝打を放つなどチャンスに滅法強く、首脳陣の信頼も厚い。俊足巧打に加え、長打力もあるだけに、相手チームにとっては伊藤を乗せないことが大事だ。打線の軸と呼べるのは4番の藤原と5番の福田。どっしりとした体格から期待通りの長打を連発する藤原は、準決勝では決勝点となるタイムリーを放った。この打球は左中間を襲った痛烈な当たりで、藤原の真骨頂が十分出た打球だった。福田は勝負どころでは初球からでもどんどんいく思い切りのいい打撃が特徴。また、下位にもしぶとい打者が多く揃っているのも特長だ。
▲好機を確実に得点に結びつける勝負強さが最大の売り
(左から伊藤、藤原、福田)


 大黒柱の川村が本領を発揮してつかんだ今回の東京ドーム。だが、川村だけで勝ち進んだわけではない。俊足の選手がレギュラーの半数以上を占めており、機動力の高さもチームの特徴だ。「状況判断をよく考える選手が多く、走塁に関してはある程度の手ごたえを感じています」と川見監督も自信を見せる。今大会は序盤戦から厳しい試合が多かったが、肝の据わった選手が多く、どんな場面でも動じずにプレーしたことが最大の勝因だった。「選手の気持ちの強さが東京ドームを実現させてくれた」と川見監督。めいぼう2号店はこれまでベスト8には何度も進出しながらも、あと一歩及ばず大舞台を逃し続けてきた。その呪縛を解き放ったこの春は、一気にアークの頂点をうかがえるチャンスが巡ってきた。
▲呪縛を解き放ちつかみ取ったこのチャンスを何とかモノにしたい