エースの右腕・望月の存在が頼もしい。守り勝つ野球の中心として、今大会をほぼ一人で投げ抜き、6試合で失点はわずか5と安定している。長身から繰り出すストレートの威力は十分でMAX130`近くの球速を記録し、三振を多く取れるのが望月の最大の魅力だ。追い込んでから内角へ投げ込むのが得意パターンで、直球の他にカーブ、チェンジアップ、フォークと豊富な球種が投球の組み立てを多彩にしている。特に追い込んでから時折投げるフォークは効き目十分で、今大会でも空振りを奪うシーンが数多く見られた。経験も豊富で自滅することはあまり考えられない。また、この望月に続く投手がこれまた長身右腕の舟戸。角度のあるフォームから多彩な球種を投げ込み打者を打ち取る。
▲チームの大躍進の原動力となった注目の本格派右腕・望月


 長打も打ち機動力もある1番・渡辺(啓)、2番・只木の出塁がカギになる。仮に渡辺(啓)が倒れても、只木が出塁さえすれば盗塁で1死2塁の形は作れる。そして吉岡クラブの中で最も頼れるのは、今大会4割近くの打率を残している4番の菊池。主砲としてはスリムな体型だがスイングは力強い。ホームラン打者というよりは、外野の間を抜く中距離タイプだ。優勝戦でも、この菊池の前にどれだけ走者が出せるかが一つのポイントとなることは間違いない。また、「陰の4番」といった存在なのが5番の豊田。チーム一の体格の持ち主で、芯でとらえれば軽々と外野の頭上を越える力を持っている。さらに6番を打つ大木は、先日行われた準決勝ではやや精彩を欠いたが、ここ一番での勝負強さが光る好打者だ。
▲長打力もある大型核弾頭・渡辺(啓)と陰の4番の風格漂う豊田


 これまで何度も上位進出が期待された吉岡クラブだったが、不思議とベスト8進出がなく、その高い潜在能力を大会ではなかなか発揮できなかった。だが今大会は、3回戦で強敵・セブンスターズを抽選の末に下してから勢いに乗り、準決勝では4回戦で春の王者・TNCスパークスを破り初Vへ突き進んでいたとん吉を完勝で下すなど、試合を重ねるごとの成長ぶりは著しいものがあった。快進撃を支えたのは、大会屈指の右腕・望月を中心とした守りだ。絶対的なエースをバックが堅い守備で盛り立て、攻撃へのリズムにつなげる。その好循環が初の優勝戦進出という好成績の要因となった。ここまで続けてきた自分たちの野球を千葉マリンスタジアムの大舞台でも発揮できれば、初優勝の可能性は十分だ。
▲勢いそのままに、初の大舞台で一気に頂点まで駆け上がれるか