今大会ここまで無失点の右腕・中須が大黒柱。昨年春の優勝投手で、それ以来一躍脚光を浴びる存在となった。最速135`近くの直球は初速と終速がほぼ変わらず威力が十分。そのほとんどが低めに集まるため、たとえ打者がうまく捕らえたとしても打ち損じが多く連打を許さない。腕の振りが速く、ピンチではきっちりと三振を奪えるのも大きい。以前はその直球の威力があるゆえに、真っ直ぐ狙いの打者に対しても真っ向勝負を挑んでいたが、今大会の中須の投球は無理に三振を狙わず、スライダー、カーブなどをうまく駆使して打たせて取る場面が目立つ。これは中須が技術だけでなく、精神的にも大きく成長した証といえるだろう。今では強豪のマウンドを守る大エースとして君臨している。
▲球威ある真っ直ぐを武器に、今大会いまだ無失点のエース中須


 1番から9番まで左右のジグザグに組まれた打線はどこからでもチャンスが作れる。また、長打が欲しいという場面では狙って長打を打てる打撃センスをほとんどの打者が身につけている超強力打線を、相手投手が抑え込むのは至難の業だ。1番を打つ武田は今大会16打数11安打と絶好調。右に左に打てるシャープな打撃センスを武器に、格好のリードオフマンとしてチームを引っ張る。2番の浅海は選球眼がよく出塁率が高い。どんな球種でも対応できる好打者・伊藤が3番に座り、パンチ力のある4番・廣島、左の長距離砲である5番の中村と続く打線は、相手投手の失投は確実に仕留め、大量得点を呼び込む。宮崎、橋口、武藤らで形成される下位打線も勝負強く、いやらしい存在だ。
▲打線を引っ張る核弾頭・武田(左)とパンチ力十分の4番・廣島


 昨年春の優勝を経験した選手がレギュラーに6人残るなど経験も豊富。その後もこの春までの大会で常にベスト8以上に食い込むなど、今大会も断然の優勝候補として挙げられていた。また、ピエロにはこれまで輝かしい野球人生を送ってきた選手たちがズラリと揃う。これだけの選手が集まると、何かとその実力がゆえに慢心なプレーもあるのではと思われがちだが、そんな場面は一切見当たらない。それどころか、輝かしい球歴を誇る選手たち全員が、「全力疾走」、「声出し」などにこだわってプレーしている。そんなところにピエロの凄さを感じる。野球に対する取り組む姿勢が格段に謙虚で、選手が毎試合勝つためにテーマを考えて試合に臨むなど、勝利への執念も十分。果たして死角はあるのか。
▲V2達成でアークカップの歴史にピエロ伝説・第2章を刻めるか