昨秋に大活躍した左腕エース・福田不在の緊急事態を複数の投手陣で切り抜けた。そんな苦しい状況の中で、エース核として活躍したのが右腕の井上。今大会は急遽登板した感は否めないが、コーナーを上手く突き打たせて取る投球で初戦から好投。走者を背負っても動じず、冷静な投球が出来る精神力が頼もしい。また、準決勝で1点リードの最終回にリリーフに立ち、見事にセーブを挙げた主軸を打つ佐藤は、気持ちで投げる力投派。競った重要な場面での登板が予想される。さらに、かつてのエースで3年前の第11回大会でヤンキースを完封した経験のある右腕・小林も復調の気配を見せるなど、全員で福田の穴を生めて見事ドームまで勝ち上がった投手層、底力は見事と言うほかないだろう。
▲今大会、好投を続ける井上(左)と準決勝でリリーフした佐藤
 上位から下位まで切れ目がなく、機動力も使えるオーダーはまさに気が抜けない。破壊力十分のクリーンアップは佐藤、貞、永森と役者が顔を揃える。中でも3番を打つ佐藤は、準々決勝、準決勝といずれも試合の終盤に勝負を決める決勝タイムリーを放つなど、チームでの信頼度はbP。不動の4番・貞は打点が多く、5番の永森は柔らかい打撃でチャンスに滅法強い。また、今シーズンから1番に座る新核弾頭・谷口は積極果敢な走塁に定評があり、準々決勝では2盗・3盗の連続盗塁を成功させチームに流れを呼び込んだ。下位に座る川上、小平、2番を打つ好打者・浅場もしぶとく脚力がある。非凡な打撃センスが買われている捕手の小椋は今大会比較的下位を打つことが多く、守りに専念させている。
▲徹底された「つなぎの野球」を実践(左から小椋・貞・小平)
 「優勝候補の筆頭」のプレッシャーと各チームの厳しいマークを跳ね返して、昨秋に引き続きこの春も優勝戦までコマを進めてきた。2大会連続でのドーム出場は、長い大会の歴史をひも解いても今回のTNCスパークスが初めて。過去様々な強豪チームがこの壁に臨んだが、いずれも達成できなかった点を考えてみても、今回の結果がいかに至難の業かを物語っている。今大会は昨秋活躍した左腕エース・福田が不在ながら、そこは多くの準優勝メンバーでカバー。日本でも有数の軟式野球の強豪として知られていた太陽信金、日興信金に在籍していたメンバーが多いということもあって、技術、精神両面において層の厚さで勝負できる。今回は2季連続のファイナル。合言葉は「優勝」で一致している。
▲「優勝」の二文字を合言葉に、2季連続のファイナルに臨む