6月18日(日)  優勝戦 1 2 3 4 5 6 7 8
TOOLS (荒川区) 0 0 0 0 0 0 0 0 0
ピエロ (世田谷区) 0 0 0 0 0 0 0 1× 1
※大会規定により、8回は1死満塁のサドンデスを実施


優勝戦実況


▲第14回大会優勝戦 軍配はどちらに
 参加256チームが、アークカップの頂点を目指して戦った2006年の春。決勝の晴れ舞台に残った2チームは、実に対照的なチームカラーになった。一方は、元プロ野球選手を擁するなどその強打と総合力が自慢のピエロ。もう一方は、自慢の投手リレーを武器に堅実な守りとしぶとい野球で勝ち上がってきたTOOLS。それぞれのここまでの戦いぶりを見れば、そんな色分けが出来る。だが、ここぞというときの勝負強さ、劣勢の展開でも最後まであきらめない精神力、チームワークと、決勝に勝ち上がるまでの戦いぶりはどちらにも安定感があり、甲乙つけがたい。果たしてこの優勝戦はどんな展開になるのか、何が勝敗を分けるのか。予断を許さない期待感とともに、平成18年6月18日、午前9時45分、大一番は幕を開けた。

 1回表、TOOLSは先頭の1番・大坂がいきなり初球をセンター前にはじき返して出塁。続く2番・佐藤の時、1塁走者の大坂がすかさず2塁へ走り無死2塁としたあと、直後に佐藤がきっちりと送りバントを決め、1死ながら走者を3塁へ進め、いきなり先制の大きなチャンスが訪れた。ここで迎えるは今大会好調な3番の虎見(一)。TOOLSには願ってもない展開となったが、期待された虎見(一)は空振りの三振に倒れ2死。続く4番の大坪も見逃しの三振に倒れ、TOOLSは惜しい先制の好機を逃す。

 対するピエロはその裏、2死から3番の庄司がライト前にうまく持って行き出塁。続く4番の浅海のとき1塁走者の庄司が2塁へ盗塁を決め、2死ながらスコアリングポジションに走者を進める。しかしこのチャンスに、期待された4番の浅海が空振りの三振に打ち取られ、ピエロも先制の好機を潰す。その後は両軍投手陣の好投で試合はこう着状態が続く。

▲初回TOOLSは絶好の先制機を逃す


▲一方のピエロも決定打を欠き両軍0行進


▲大舞台で快投を見せるピエロ先発・中須
 TOOLSは大方の予想通り右腕の藤本が先発。今大会は立ち上がりに苦しむ場面もあったが、この日は序盤から飛ばして好投。得意のスライダーを駆使して見事にピエロの強力打線を封じた。TOOLSはその後、3回から2番手の後上にスイッチし、4回からは抑えの切り札である虎見(拓)につなぐ必勝リレーを展開した。対するピエロは今大会序盤から活躍した中須がこの日の先発マウンドに上がった。中須は立ち上がりこそ走者を背負う投球となったが、その後は力強い速球に曲がりの大きいスライダーを効果的に使いTOOLS打線を抑え込んだ。

 その後試合は6回を終了して双方とも得点を奪えず、いよいよ0-0のまま最終回に突入した。7回表、この回に試合の行方を左右するスーパープレーが飛び出す。TOOLSは先頭の2番・佐藤から始まる打順。その佐藤が放った打球は左中間を深々と破りそうな会心の当たり。誰もが抜けたと思われた当たりだったが、これをピエロのレフト・廣島が間一髪の横っ飛びダイビングキャッチを見せ好捕。チームの大きなピンチを招く危機を救った。TOOLSが続く3番の虎見(一)が右中間に落ちる2塁打を放っただけに、廣島のファインプレーが余計に光る形となった。ピエロもその裏2死からヒットで走者を出すが後続が続かず、結局試合は特別ルールによる延長サドンデスに突入した。
▲レフト廣島のスーパーダイビングキャッチ


▲サドンの表、TOOLSはよもやの無得点


▲その裏、庄司が決勝エンドランを決める
 1死満塁から始まる特別ルールは、双方任意の打順からスタートする方式。TOOLSは先ほどの回に左中間に会心の当たりを放った2番・佐藤から始まる打順を選択。しかし期待された佐藤はファールで粘りに粘ったが、最後は得意のスライダーを引っかけ投手ゴロ。ホームで走者がフォースアウトになり2死。続く3番の虎見(一)もキャッチャーフライに倒れ、TOOLSはまさかの無得点に終わる。

 一方のピエロはその裏、3番の庄司から始まる打順を選択。表の攻撃を0点に抑えているだけにどのような形で攻めてくるのか注目されたが、取った策は初球エンドラン。この回の第1球のときに3塁走者がいきなりスタート。無警戒だったバッテリーは虚を突かれた形となったが、3番の庄司が初球を上手くバットに当て、この打球が1塁後方へ大きく弾むバウンドとなった。ファーストがこの打球を何とか抑えるも、この間に3走者が本塁を駆け抜けピエロが劇的なサヨナラ勝ちを収めた。

 試合後の閉会式でピエロの平野監督にアークカップが贈られ、256チームの参加で始まった第14回大会の熱戦の幕が下ろされた。

 優勝したピエロは初出場となった昨秋、総合力の高さからいきなりの上位進出も期待された。が、結果はまさかの守備のミスが飛び出し2回戦敗退。平野監督はあまりの悔しさに、敗戦後声を失っていた。あれから約8ヶ月、元々潜在能力の高かったチームがおごらず、ひたむきにプレーした今大会。タレント軍団が一体となって同じ方向へ突き進んだ結果、もはやピエロの快進撃は必然的なものとなった。

 また、惜しくも敗れたTOOLSは、巧みな投手リレーと粘り強い攻撃を武器に勝ち進んできた。優勝戦も今大会の戦いぶりを比較して戦前は劣勢が予想された。しかしふたを開けてみると、初回からいきなりスコアリングポジションに走者を進めるなど、逆に試合の主導権を握っていた。最後はピエロの地力の前に屈したが、堂々の戦いぶりだった。

▲殊勲のV打を放った庄司にナインがかけ寄る



▲ピエロ平野監督、高々とドームに舞う