11月28日(日)  優勝戦 1 2 3 4 5 6 7 8
 (文京区) 0 0 0 0 0 0 0 0 0
とらひげ (新宿区) 0 0 0 0 0 0 0 1× 1


優勝戦実況

 0対0の緊迫とした投手戦の末、迎えた延長8回の裏とらひげの攻撃。無死3塁とまたとないサヨナラの好機に、打席に入ったのは6番為永選手。四ノ宮投手の初球を思いっきり振り抜いた打球は、ライトへ高々と上がった。この打球を蠍の右翼・佐藤選手が素早くつかみ懸命なバックホームを見せる。しかしあと一歩間に合わず、この瞬間、とらひげのアークカップ2度目の優勝が決まった。

 11月28日(日)午後12時55分、両軍応援団、関係者、熱心な一般草野球ファンなど多くの観客が見守る中、第11回大会の優勝戦の火蓋は切られた。

▲とらひげ先発・白崎投手 ▲蠍先発・四ノ宮投手

 とらひげは白崎、蠍のマウンドにはもちろん豪腕・四ノ宮投手と両エースが先発して始まったこの優勝戦。

 最初に好機をつかんだのは蠍。初回、まず2番の吉田選手が内野のエラーで出塁。続く3番浅賀選手は手堅く走者を送るが、このとき捕手からの送球をとらひげ内野陣が捕球できず1・2塁オールセーフとなり、いきなり先制のチャンスを作る。しかし続く期待された4番の藤原選手はサードゴロ、5番四ノ宮投手はファールで粘ったが最後は空振りの三振に倒れ、蠍は惜しい先制好機を逃す。さらに蠍は2回にも8番唐木選手のライト前ヒット、3回には1死から2番皆川選手がきれいにセンター前に弾き返し何度となく好機を作ったが、いずれも併殺打などで攻めきれず、なかなかとらひげ白崎投手から得点を奪えない。4回にも四球を皮切りに1死2塁とスコアリングポジションに走者を進めるが、迎えた6番住谷選手が三振、7番丹下選手が3塁ゴロに倒れ、この回も無得点に終わる。

 一方、ここまで強力な打線を中心に勝ち上がってきたとらひげは前半、蠍の四ノ宮投手を攻めきれず、なんと4回までパーフェクトに抑えられるまさかの沈黙。なかなか攻略の糸口がつかめない。そんなとらひげが初めて迎えた好機は5回。この回先頭の4番池葉(一)選手が四球でこの試合初の走者となり出塁。しかしこの場面も、続く5番村田、6番為永選手が連続三振に倒れチャンスがついえたかに思われた。しかし迎えた7番渡辺選手が放った打球は右中間を襲う大きな当たり。一瞬抜けて先取点かと思われたが、この打球を蠍のセンター浅賀選手のスーパーキャチに阻まれ、先制の惜しい好機を逸した。

▲初回、絶好の先制機を逸した蠍



▲両者譲らぬ投手戦が続く



▲ピンチを脱したナインを迎える蠍ベンチ


▲延長8回裏、村田選手が3塁打で出塁



▲打席には6番為永選手を迎え、その初球



▲ライトへ犠牲フライを打ち上げ、決勝点
 徐々に攻撃のリズムが出てきたとらひげは6回、この回先頭の8番石平選手が、この試合チーム初となるヒットをライト前に弾き返し出塁。続く9番黒坂選手のとき2塁盗塁に成功。さらにワイルドピッチの間に3塁へ進み、1死3塁と絶好の先制機を迎える。ここで続く1番池葉(直)選手の放った打球はボテボテの1塁ゴロ。これが打者走者と3塁走者がいずれも刺される併殺打となり、またもやチャンスを生かせない。

 終盤押され気味な蠍は5回以降、調子の上がってきたとらひげ・白崎投手の前に打線が沈黙。一人の走者も出せず我慢の展開が続く。両エースの好投で7回を終了して双方無得点。試合はついに優勝戦史上初となる0対0のままの延長戦へと突入した。蠍の四ノ宮、とらひげ白崎の両投手がともに持ち味を十分に発揮した本日の投手戦は、このままどこまでも続きそうな予感が漂っていたが、試合のエンディングは突然訪れる。

 延長8回の裏。とらひげはこの回先頭の5番村田選手が、四ノ宮投手の内角寄りの直球をとらえレフトオーバーとなる3塁打で出塁。このチャンスに続く6番為永選手が初球の高めのスライダーをきっちりライトに打ち上げ、息詰まる投手戦に終止符が打たれた。サヨナラの瞬間、ホームベース上にすぐさまホームインした3塁走者村田選手を迎える歓喜の輪ができ、その中で中川監督をはじめ、この日活躍した村田選手、サヨナラ犠牲フライを打ち上げた為永選手、そしてエースの白崎投手の各選手が西武ドームの中に舞った。試合後の閉会式でとらひげ中川監督にアークカップが贈られ、長かった第11回大会の熱闘の幕が下ろされた。

 勝ったとらひげは大会史上3チーム目のV2達成となり、東京ドームと西武ドームのそれぞれでの優勝は佐川急便千葉(船橋市)に次いで2チーム目。その力強い打撃で今大会は初戦から他チームを圧倒。優勝戦こそ蠍の四ノ宮投手の前に苦戦したが、最後は総合力で振りきり、見事2回目の優勝を飾った。一方、わずか1点が遠く敗れ去った蠍。好投手四ノ宮投手を中心に全員野球で挑んだ今大会の戦いぶりは実に見事だった。今回のこの優勝戦、白崎対四ノ宮、両エースの投げ合いは、アークカップ大会史に新たな1ページを加える素晴らしい投手戦だった。


▲2度目のVを決め、とらひげ歓喜の胴上げ